病院で行われる治療

恐怖症は、心療内科などで治療を受けることもできます。病院での治療は、認知行動療法などの心理的な治療と同時に、投薬によって症状を抑えて徐々に恐怖症の症状が現れないようにするものです。

認知行動療法というのは、自分が怖いと思うものに出くわしたときに、どのように対処すればよいのかを論理的に理解して、その方法を身に付けることによってパニックになったりしないようにしていくものです。怖いものに出くわしたときに、ただ「怖い」と思うのは誰でも同じですが、恐怖症を持つ人にとってはその対象と対象が引き起こす事象を過大にとらえたり、ゆがんだ形でとらえることによって、異常なほどの恐怖を感じてしまうのです。このゆがみを正すことによって、かなり落ち着いて対処できるようになりますし、そのことにどう対処するべきかを事前に頭と体に叩き込んでしまうことで、とりあえず取るべき行動をとれるようになります。こうした認知行動療法は、すべての恐怖症に効果があるわけではありませんが、恐怖症克服の大切なステップとなるのは確かです。

病院で治療を受けると、こうした心理療法と並行して投薬が行われます。投薬の種類は症状によって異なりますが、たとえば対人恐怖症であれば、緊張をほぐしてポジティブな気持ちにするSSRIや身体的な症状を緩和するβ遮断薬、不安を感じにくくする抗不安薬などがつかわれるのが一般的です。薬を飲むことによって、これまで怖いと感じたときに現れていた症状が抑えられ、徐々にそうした状況に慣れていくことができます。投薬中は症状が現れにくいので、治ったと判断して買ったに服薬をやめてしまうと、リバウンドのようによりきつい症状で再発する場合もあるので、治療をうけたら薬は最後までしっかり飲み切るようにしましょう。

恐怖症などの精神的な疾患の場合、まず病院に行くことに抵抗を感じるという人もすくなくありません。しかし、医者に相談して、自分のような恐怖症の人が他にもいるということを認識するだけでも気分がずいぶん軽くなるものです。治療を受けることによってすべての人が完全に恐怖症を克服できるわけではありませんが、大半の人が治療前よりも症状が改善したと感じているようです。周囲の人に相談するよりも、専門医に相談するほうが気が楽だという人も多いので、症状が辛い場合には気楽に診察を受けてみてはいかがでしょうか。

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