閉所恐怖症

閉所恐怖症とは、密封された狭い空間にいることで恐怖を感じるタイプの恐怖症です。人によって恐怖を感じる程度や大きさ、空間は様々ですが、たとえばエレベーターやトイレの個室の中など、視覚的に四方が閉じられた空間というのは閉所として認識されやすいと考えられます。飛行機や窓のない部屋など、ある程度広さがあるように感じされるところでも、周囲の空間との区切りが意識しやすい場所は恐怖の対象になることもあります。また、実際には閉じられた空間ではないトンネルの中や、MRI検査装置などでも恐怖を感じることがあります。

閉所恐怖症の場合、閉じられた空間の中で息苦しさを感じたり、動悸が激しくなってめまいがしたりといったパニックに陥ることがあります。閉所という逃げ場のない場所で極度の恐怖を感じるため、その症状は比較的激しく、場合によっては死の恐怖を感じて気を失ってしまうこともあるほどです。電車やタクシーなど、交通機関の中でも恐怖を感じてすぐ降りたくなってしまったりするため、日常生活にもかなり支障をきたします。

原因は人によってさまざまですが、閉所恐怖症の多くは、過去の経験がトラウマとなっていることにあります。たとえば、「子どもの時のかくれんぼで隠れたつもりが出れなくなって怖い思いをした」「両親に叱られて押し入れに何度も閉じ込められた」「乗っていたエレベーターが突然止まって、何時間か閉じ込められた」という「閉じ込められて自力では出られなくなった」経験がトラウマになることがよくあります。そのため、トイレなどの空間でもドアを開けて出口を確保していれば大丈夫なのです。

閉所恐怖症の克服のためには、専門医の指導の下で、過去のトラウマを記憶として受け入れる認知行動療法が行われます。トラウマとなった経験を自ら思い出すことになるので、本人にとっても辛い作業になることがありますが、専門医のサポートの元でそうした作業を行うことで、克服できるケースもあります。また、現れる症状の強い場合には、薬物なども使用しながら徐々に認知行動療法を進めていきます。

↑ PAGE TOP