潔癖症

潔癖症というのは良く使われる言葉で、部屋が綺麗に片付いていないと気が済まない人なども日常会話では潔癖症と言われたりもしますが、実際にはそれは単なるきれい好きな性格であって潔癖症ではありません。潔癖症とは、汚れが気になって手洗いを過剰に行ってしまうような強迫神経症の一種で、不潔恐怖症といわれるものです。たとえばついているバイ菌が気になってつり革を持つことができなかったり、帰宅後には何度も手を洗わないと落ち着かなかったりするのが潔癖症です。この潔癖症はある程度であれば清潔でよいのですが、行き過ぎると手がボロボロに荒れるまで洗ってもまだ汚いような気がして洗うことをやめられなかったり、外出先で物に触れることができなくなったりして、日常生活にも支障をきたすようになってしまいます。学校や会社などで極端な振る舞いをして周囲の人に嫌がられたり、結婚後に配偶者にも過剰な清潔さを求めたりするなど、対人関係にも悪影響を及ぼすことがあるのも困ったところです。

この潔癖症を改善するためにも、認知行動療法などが有効。そもそも、潔癖症の原因の多くは、子どもの頃にされた 「手にはたくさんバイ菌がついているから綺麗に洗いましょう」という指導の行き過ぎです。特殊なカメラなどで摂った写真で、「ほらこんなに手にはバイ菌がついている」と意識させたり、「何億個ものバイ菌が手にはついています」といった教育を受け続けることで、子どもながらにバイ菌の存在を過剰に意識することになります。その結果、強迫神経症の域にまでバイ菌の存在を否定して手を洗い続けることになるのです。もちろん感染症の予防なども面で手洗いは大切ですが、実際のところ、いくら手を洗っても大気中にもそうした菌は存在しますし、私たちが完全に無菌な状態で生活するのは不可能です。また、私たちは体の中にもさまざまな菌を保有しており、そうした菌との共生はどうしても必要ですし、体に不要なバイ菌についてもある程度存在する状態で生活しているほうが免疫がついて丈夫な体になったりします。認知行動療法で徐々に「そこまで手を洗わなくても不潔ではない」ということに慣れていき、潔癖症を改善した人も多いので、あきらめずに治療してみて下さい。

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