対人恐怖症

対人恐怖症は、人と接するときに過剰に緊張したり恐怖心を感じてしまい、声が出なくなる、動悸が激しくなる、呼吸が困難になるなどの症状を引き起こすもので、日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。対人恐怖症の中でも恐怖を感じるポイントは人によって微妙に違っており、たとえば人と顔を合わせて話をするのが苦手な人もいれば、電話で話をするのが苦手という人、人の視線が極度に気になる人、人前でスピーチなどをするのが苦手な人など、実にさまざまで、もちろんこれ以外の部分で対人恐怖症に悩む人もいます。しかし、いずれの場合も人と話をするというのは社会生活において必要な作業になってきますので、これができないとなると学校や会社、地域の中などで孤立してしまい、辛い思いをすることになるのです。

対人恐怖症は、相手が自分のことをどのように思っているのかが極端に気になったり、自分が嫌われているのではないか、自分の振る舞いがおかしいのではないかと思い込んでしまうことによって恐怖心を抱くことがほとんどです。実際には悪口を言われていなくても言われたように感じたり、笑われているように感じたりするなど、マイナスな思い込みをすることが多いのですが、中には昔受けたいじめなどのトラウマなどが原因となっている場合もあります。対人恐怖症が悪化すると家に引きこもって誰にも会わないように生活したり、会社や学校でトラブルを引き起こすこともあります。本人が周囲と上手くやろうと思えば思うほど意識してしまって空回りしたりすることも多く、改善するのはなかなか難しいのが現状です。

現代は人と人とのコミュニケーションが非常に重視されている時代であり、それが逆に他人からの評価を過剰に気にすることにつながって対人恐怖症に悩む人を増やしているのかもしれません。対人恐怖症も軽度であれば人見知りや緊張しやすい性格だということですみますが、本当にコミュニケーションが取れないほどの重症になると、病院でカウンセリングを受けたり投薬治療を受ける必要があります。対人恐怖症の人は、コミュニケーションのとれない自分に問題があると考えがちですが、実際には対人恐怖症に悩む人は多く、日本人の10人に1人は対人恐怖症だと言われています。同じ悩みを持つ人はたくさんいますし、支援するプログラムなどもたくさんありますので、少しずつでもあきらめずに取り組むことが大切です。

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