暗所恐怖症

暗所恐怖症とは、暗いところを極端に怖がる恐怖症のことです。もちろん誰でも急に暗くなると驚きますし、暗い部屋にいるよりは明るい部屋にいる方が安心感があるものです。それは、暗闇からなにか危険が迫る可能性があるのではないかという本能的な危機回避意識によるもので、当然のことです。しかし、暗所恐怖症の人は単に「怖い」と思うだけではなく、体がすくんでしまったり、大量の汗が出たり、パニックになったりと、恐怖感から体が過剰な反応を示してしまいます。

しかし、実際のところ暗闇を避けて生活するということは難しいものです。家中の電気をつけて生活するという方法もありますが、家を一歩出ると夜はどうしても暗闇になりますし、夜道を歩いて帰宅するたびに極度の緊張感でクタクタになってしまいます。また、意識的に明るい部屋で生活することはできても、眠るために目をつむると暗闇が訪れることに恐怖を感じ、不眠症に陥ることもあります。このように日常生活に支障をきたすことも多いため、暗闇恐怖症を持つ人は、毎日たいへん辛い思いをしているのです。

暗闇恐怖症を克服するためには、徐々に慣れていくしかないと言われています。幸いなことに、暗闇というのは段階的に作ることができるので、まずはちょっと照明を落とした薄暗い状況から初めて、徐々に暗闇に慣れていくようにしましょう。ただし、発汗や動悸など身体的な影響を及ぼすほどの暗闇恐怖症を持つ場合には、無理は禁物。できれば専門医の指導の下に、薬物投与などを行いながら進めていくのが無難です。克服するのは簡単ではありませんし、かなり時間をかけて慎重に進めていかないと逆に恐怖がトラウマになってしまうこともあります。暗闇が本能的に与える危険にたいする警戒心も恐怖につながりますから、まずは安全だとわかっている自分の家など、リラックスできる空間で慣らしていくのがおすすめです。

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